冬になると寒くてなかなか寝付けない、布団の中に入ってもなかなか温まらない・・・、などよく耳にします。そんなとき私たちは、掛け寝具を何枚も重ねて早く布団の中があたたかくなるように工夫したりします。
しかし実は、寝具の放熱は背中からの方が多い、ということも指摘されていますので、掛け寝具を多くするよりは敷き寝具を保温性の高いものに変えることが大切になってきます。
そこで、人工気候室を用いた寒冷低湿環境下(冬の寝室を想定)で敷きマットの素材の違いが、寝つきにかかる時間、過程に影響を及ぼすかどうかを検討することを目的として調査を実施しました。
対象
- 心身ともに健康な成人男女11名
寝具条件(※表1参照)
結果
皮膚温(※図1参照)
図1は、皮膚温を前額と足背で測定した結果を示したものです。
これをみると睡眠が深くなるにつれて低下する前額の皮膚温(図1上段)が、後半で条件I(イワタ寝具)で有意に低くなっていました。
足背の皮膚温(図1下段)は、後半で時間経過とともに条件I(イワタ寝具)で高くなっていました。
⇒以上のことから冬季を想定した寒冷環境では、天然素材を使用したイワタ寝具の方がスムーズな寝付きを促す深部体温の熱放散が行われていた可能性が考えられます。
布団の中の温・湿度(※図2参照)
図2 は2条件の布団の中の温・湿度の変化を示したものです。赤い折れ線がイワタ寝具の条件、青い折れ線グラフがスプリングマットレス&ポリエステルパッド条件を示しています。
図2をみると、足部の布団の中の温度(図2上段)において、睡眠後半でイワタ条件(条件I)の方が有意に温度が上昇していたことが分かりました。
一方湿度(図2下段)については、顕著な差はありませんでした。
⇒つまり、ラークオール&キャメル敷きパッドを使用した条件Iでは、布団の中の温度が高く快適に保たれていたことが推測できます。
アンケート調査結果(※図3-1、図3-2参照)
図3-1は、2条件のマットレスを使用したときの使用感をアンケート調査した結果をまとめたものです。赤い棒グラフはイワタ寝具の条件I、青い棒グラフを条件Sを示しています。
図3-1を見ると、足の温度は条件S(スプリング)では条件I(イワタ寝具)に比べて、もっと暖かくしたいという評価点が有意に高くなるという結果でした。
図3-2は、睡眠中の使用感についてアンケート調査を行った結果を示したものです。
これをみると、睡眠中では条件I(イワタ寝具)でより暖かく快適だったと評価しており、特に足の温冷感に条件間で有意差が認められました。
⇒アンケートの結果においても保温性の高い天然素材を使用したマットレス・ラークオール& キャメル敷きパッドの条件の方が、布団の中の温度が高いと評価しており、加えて、使用感も快適だったと評価していることが分かりました。
以上の結果から、保温性の高い天然素材を使用したラークオールマットレスとキャメル敷きパッドを敷き寝具に使用することにより、暖かい布団内の環境が整えられ、快適な温度を保つことができる可能性を示すことができました。
※本研究は、2012年11月17日~18日に開催されました日本生理人類学会第67回大会 (首都大学 荒川キャンパス)にて発表されたものです。
※本研究の内容を転載することを禁止します。